実家はいわゆる昭和の家です。
押し入れに天袋、どうやって運び入れたのかと思う重厚な洋服箪笥。庭には物置があります。
それらの全てに、物がぎっしり詰まっています。
実家にはもうすぐ90歳になる祖母が住んでいます。
祖母はとにかく物を捨てるのが苦手です。30年以上のお付き合いですが、片付けをしているところを見たことがありません。
そんな祖母がいる実家に、結婚後同居しようという話がありました。
なんせ部屋は余ってますから。しかし、部屋が余っているといっても、空いている訳ではありません。そこには既に物が沢山詰め込まれています。
同居するために、部屋を片付けようとした時期もありました。しかし、物を捨てようとビニール袋にまとめても、また開封されて元に戻される。
そうされないようにこれは処分してもいいか確認していくと、とてつもない時間がかかります。私たち夫婦は諦めて、賃貸を借りることになりました。
お金はかかりますが、今ではその選択で良かったと思っています。
あれから8年以上経ちました。
あの時捨てて怒られた物たちは、未だに使われることもなく、埃を被って置かれています。
祖母もかなり高齢になり、あの時程の反発はありませんが、未だに家を片づけられることをとても嫌います。「自分が死んだら捨ててくれたらいい」が口癖です。
もはや、その物が必要かどうかも分からない。でも、無くなってしまったらもう手に入れられないかもしれない。そういったことを考えると不安であり、判断する力が無いのです。
自分のこともまともに出来ない。そんな状態の今の祖母を見ていると、なんだか可哀そうで、昔のよう怒ることもできません。
私にできることは、こっそり少しずつ片付けること。
月に数回しか行きませんが、こそっと2階に上がっては、いらない物を捨てたり。持って帰って使えるものは使ったり、売れそうな物はフリマアプリで売ったり。
無くなったことがバレない程度に物を減らしていってます。
こんなことに何の意味があるのかとも思いますが、もし実家を取り壊すとなれば、全てが不要となって、ごみとなってしまうのは悲しいし、勿体ない気がしてなりません。
片付けを人に促すのは、本当に難しいことです。
相手が高齢の人なら尚更です。祖母はいわゆる焼け跡世代。やはり小さい頃に物が無くて苦労した人にとって、物が沢山あることが安心感に繋がってるのでしょう。その感覚を変えることは、よっぽどなことが無ければ無理なのではないでしょうか。
昔は何とか片付けさせようと奮起しましたが、今は祖母の好きなようにさせてあげることにしました。
片付けることができないストレスは、YouTubeで発散しています。
「実家 片付け」で検索して、他人の実家の片付けの様子を見て、自分もすっきりした気持ちを味わっています。